所在地 | 東大阪市高井田中2丁目5-25 |
事業内容 | 鉄道用電車線金具(鉄道電化用の架線を支持・吊下するための金具・装置)等の製造・販売 |
2018年11月9日(金)に見学者総数20名で訪問しました。朝から雨でしたが、集合時間ごろには、雨もあがっており、
ほっとしました。しかし、見学会終了時には、また雨が降っており、傘を差しての帰宅となりました。
株式会社 電業 様は、2019年にラグビーワールドカップの会場となる花園ラグビー場を擁する「ラグビーのまち」また日本有数の中小企業の集積地で「ものづくりのまち」として知られる東大阪市の西に位置し、鉄道用電車線金具の総合・専門メーカーです。
昭和42年に布施市、河内市、枚岡市の3市が合併して、東大阪市になる前は、布施市のほぼ中央に位置していました。

同社は1919年(大正8年)の創業以来、電車線金具等の鉄道用電車線機器に関わってこられ、鉄道用電車線機器の総合・専門メーカとして設計・製造・試験・販売に至る一貫した生産を行っています。
また、同社は、鉄道用電車線機器の専業・総合メーカーに徹することを基本的なポリシ-とされ、創業以来の「架線金具は電車に命を与えるもの」という理念の基、「ものづくり」に取り組んでおられます。
架線を支える各種金具等を作って、創業100周年を迎えていますが、創業以来、全国の都市交通・民営鉄道への製品の納入を始め、JRの電化計画にも係わり、特に新幹線建設には新しい金具を開発し、その多くが採用されています。同社の製品は、日本および世界における鉄道の安全・安定輸送に欠かせないものとなっています。
最初に、濵谷社長 様からご挨拶の後、会社概要のご説明をいただきました。当社のような鉄道用電車線機器の総合・専門メーカーは、わが国には関西に1社(当社)と関東に1社の2社しかなく、阪神・淡路大震災の際は、部品の供給を行ってもらい、東日本大震災の際は、当社から部品の供給を行うなど、競合会社ではあるが、相互扶助の関係にあることが話された。
また、鉄道用電車線機器は、多品種・少量生産なので、オートメーションでの「ものづくり」はできないことが悩みの種とのことであった。
さらに、当社においても、人材不足の悩みがあり、還暦迎えの従業員は25%を超えている。しかし、技術の伝承も不可欠と考え、鋳物の技術を伝承するために、あえて一部で旧態依然とした手作業の砂型鋳物を行っている。職人の技術を心得ていれば、どんなトラブルにも対応できるので、この作業は若い従業員にもさせているという。


その後2班に分かれて、鋳造工場、機械工場、鉄鋼工場など電車線金具の製造工程を見学しました。
電車を安全・安定に走らせるために、電車本体だけでなく、非常に多くの部品があることには驚きました。同社が製作する電車線金具のアイテムは、細分化すると12,000にもなるそうです。


鋳造工場では、鋳造作業において、作業員の負担を減らすために「楽々アーム」というものが採用されていました。これまでは、作業員が、ひしゃくに必要量の金属をくみ取り手作業で注いでいた負担が減ります。機械工場では、製品の曲げ加工において、ハンマーで曲率を一定にする職人技に感心しました。


見学終了後、活発な質疑応答がなされました。

詳細なご説明とともに、工場見学をさせていただき、いずれの大手企業の系列にも属さず、独自の技術・生産設備を有し、施主(鉄道事業者)様と直結した「ものづくり」への取り組みは、参加者一同、大変参考になりました。
後日、電車に乗るたびに、架線を見上げ、電業さんが作っておられる電車線金具に目が行くようになりました。
ありがとうございました。
